こんにちは。内科クリニックで働く看護師のトトです。
患者さんから、
「夜中に2回以上はトイレに行く」
「日中、何度もトイレに行く」
「尿漏れが心配で、外出ができない」などの悩みを聞くことがあります。
もしかすると、それ、過活動膀胱の症状かもしれません。
ということで、今回は!
加齢に伴って起こりやすい過活動膀胱の症状についてご紹介します。

おしっこの悩み
悩みチェック
こんな、症状はありませんか?
□トイレが気になって、外出や旅行などは気が引けてしまう
□夜中に2回以上、トイレに行く
□水仕事や手を洗ったときにトイレに行きたくなる
□急にトイレに行きたくなり、駆け込んだことがある
□頻繁にトイレに行く
□トイレに駆け込む間に、尿漏れしてことがある
以上の症状がどのくらいの頻度でありますか?
もし、自分と同じだ・・・と感じたら、まず
この1週間の“おしっこ”の状態に最も近いものを下記のチャートでやってみてください。
いかがでしたか?
合計点数が、
◆5点以下・・・軽症
◆6〜11点・・・中等症
◆12点以上・・・重症
過活動膀胱の症状
過活動膀胱の主な症状は以下の4つです。
1.尿意切迫間
▶突然、我慢できない強い尿意を感じる症状です。過活動膀胱の特徴的な症状です。
2.昼間頻尿
▶起きている間に頻繁にトイレに行く状態で、1日に8回以上の場合は目安とされます。
3.夜間頻尿
▶夜間にトレイのために1回以上起きる状態です。特に2回以上の場合、過活動膀胱の可能性が高いとされます。
4.切迫性尿失禁
▶強い尿意のためにトイレに間に合わず、尿が漏れてしまう症状です。
過活動膀胱の原因
過活動膀胱の原因は以下の通りです。
◆生活習慣や加齢
加齢による膀胱機能低下や血流低下、カフェインやアルコール摂取が原因になることがあります。
◆骨盤底筋群の弱化
特に女性では筋力低下は影響します。
◆神経系の異常
脳梗塞、脳卒中、脊髄損傷、パーキンソン病などが膀胱の不随意な収縮(膀胱が勝手に縮んだり、過敏な動きをする)を引き起こします。
◆疾患
糖尿病、尿路結石、膀胱がん、膀胱結石、前立腺肥大症などが影響します。
推定患者数
過活動膀胱の国内推定患者数は約810万人とされています。
これは、40歳異常の人口12.4%、8人に1人が“おしっこ”の悩みを抱えていることになります。
診断方法
過活動膀胱の診断方法には以下のようなものがあります。
1.問診と過活動膀胱症状質問票(OABSS)
▶自覚症状を評価するための問診が重要で、OABSSを使用して症状の重症度を点数化します。
2,尿検査
▶尿路感染や血尿の有無を確認し、膀胱炎や結石などの除外診断を行います。
3.血液検査
▶主に男性で前立腺癌の鑑別のために行います。
4.残尿測定
▶排尿後に膀胱内に残った尿量を超音波で測定します。
5.超音波検査
▶膀胱や腎臓の異常(腫瘍、結石、水腎症など)を確認します。
これらの検査を組み合わせて診断されます。
治療
過活動膀胱は、主に薬による治療が行われます。
◆抗コリン薬:膀胱が勝手に収縮するのを抑える薬です。
◆β3作動薬:膀胱を緩めて、尿を溜める機能を高める薬です。
過活動膀胱の治療には、内服と合わせて「膀胱訓練」や「骨盤底筋訓練」などを行うと効果です。
膀胱訓練:尿意をもよおしても、できるだけ我慢し、膀胱の容量を増やす訓練です。
1️⃣ 少しずつ、我慢する
・尿意を感じたら、最初は5分程度我慢します。
・慣れてきたら、10分、15分と徐々に時間を開けて延していきます。
2️⃣ トイレの間隔を決める
・一日の排尿時間を回数を計画し、その間隔を少しずつ広げていきます。
・最終的には2〜3時間毎の排尿間隔を目指します。
3️⃣ 排尿日誌を活用
・排尿時間や量、漏れの有無などを記録し、自分の排尿パターンを把握します。
👍️ 尿意を抑えるテクニック
・深呼吸や別のことを考えて気をそらす。
・足をクロスしたり、椅子に座るなどで尿意を抑えましょう。
骨盤底筋訓練:骨盤底筋を鍛え、尿漏れを防ぐ訓練です。姿勢改善にも効果的です。
1,仰向けに寝て、足を肩幅に開き、両膝を軽く曲げて立てる。
2.肛門、尿道、膣全体を締める感覚で5秒間キープする。
3.力を抜いてリラックスする。
4.「締める→緩める」を1分間に10回繰り返す。
日常生活で注意するポイント
過活動膀胱の症状を管理するために、日常生活で注意すべきポイントは以下の通りです。
1.水分摂取の管理
適切な水分摂取を心がけることは大切ですが、過剰な水分摂取は頻尿を悪化させてしまう可能性があるため、飲み過ぎないようにしましょう。特に寝る前2〜3時間は水分を控えることが推奨されます。
2.体重管理
過剰な体重は膀胱に負担をかけるため、適正体重を維持することが症状改善に役立ちます。
3.便秘の予防
便秘があると膀胱が圧迫され、頻尿や尿失禁を引き起こしやすくなります。規則正しい排便を心がけ、食物繊維を多く含む食事を摂るようにしましょう。
4.適度な運動
適度な運動は骨盤底筋を強化し、膀胱のコントロールを助けるため、日常的に軽い運動を取り入れることが有効です。
これらの注意点を意識して生活することで、過活動膀胱の症状を軽減し、より快適な日常生活を送ることができます。
まとめ
過活動膀胱は、頻尿や急な尿意、夜間尿などの症状が特徴的な疾患で、日常生活に大きな影響を与えることがあります。
適切な診断と治療が重要で、生活習慣の見直しや医師の指導のもとで進行を防ぐことが可能です。
薬物療法や行動療法を組み合わせることで、症状を軽減し、快適な生活を取り戻すことができます。
過活動膀胱の悩みを抱えている方は、早期に専門医(泌尿器科)を受診することをおすすめします。
明日も元気に生きられますように。
ご精読ありがとうございました。
参照:過活動膀胱診療ガイドライン[第2版]


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