なぜ尿から、タンパク質が漏れ出たら駄目なの?

健康

こんにちは。内科クリニックで働く看護師のトトです。

みなさんは、健康診断や人間ドックの尿検査で、“タンパク尿”を指摘されたことはありませんか?
“タンパク質”は“体に良いもの”というイメージがありますよね。
日頃から、“タンパク質”を意識的に摂っている方も多いと思います。
そのため、タンパク尿が「余ったタンパク質が体から出た」と勘違いしてる方もいるのではないでしょうか。

ということで、今回は!
タンパク尿の原因と予防方法をお伝えします。

タンパク尿

タンパク尿とは?

タンパク尿は、尿中に通常より多くのタンパク質が含まれる状態のことをいいます。
健康な人でも、一日に100mgほどのタンパク質が尿に含まれています。
しかし、腎臓や泌尿器系の異常が原因で、それ以上にタンパク質が多く出ていることがあります。

タンパク尿の基準値は?

タンパク尿は、尿の色や濁りを見ただけでは判断することができません。
そのため、尿検査が必要になります。

タンパク尿の基準値

◆定性検査(試験紙法)
・(−):正常(30mg/dL未満)
・(±):軽度異常(30mg/dL程度)
・(1+):30〜100mg/dL
・(2+):100〜300mg/dL
・(3+):300〜1000mg/dL
・(4+):1000mg/dL以上

◆定量検査(随時尿)
・正常:0.15g/gCre未満
・軽度異常:0.15〜0.5g/gCre
・高度異常:0.5g/gCre以上

尿検査では、ほかにも糖や潜血、比重、pH、白血球、細菌、腫瘍の有無などの様々な異常を調べることができます。

生理的タンパク尿とは?

健康な人でも、タンパク尿がでることがあります。
これは「生理的タンパク尿」と呼べれ、一時的な現象で病的な原因ではありません。

生理的タンパク尿の主な原因

激しい運動
運動後に腎臓に負担がかかり、一時的に尿中にタンパク質が増加します。
ストレスや疲労
精神的・身体的ストレスが腎機能に影響を及ぼします。
長時間の立位(起立性タンパク質)
特に若年者で、長時間経っているときに尿中タンパク質が増えることがあります。
発熱や脱水
体調不良時に腎臓の働きが一時的に変化します。

生理的タンパク尿は通常、原因が取り除かれると自然に消失します。
健康診断や人間ドックでタンパク尿を指摘された場合は、病気によるものか生理的なものかを見極めるため、再検査や精密検査を受けることを勧めます。

なぜタンパク質が尿に漏れ出すの?

健康な腎臓では、糸球体と尿細管がしっかりとフィルター機能を果たしているため、ほとんどのタンパク質は尿中に出ません。しかし、病気や負荷によっていこれらの機能が損なわれると、タンパク質が漏れ出してしまいます。

タンパク質が尿に漏れ出す原因

◆糸球体性タンパク尿
腎臓の糸球体の障害で透過性が亢進し、大量のタンパク質が漏れ出します。
例)糸球体腎炎、ネフローゼ症候群
◆尿細管性タンパク尿
尿細管での再吸収障害により、低分子タンパク質が尿中に排泄されます。
例)間質性腎炎
◆腎前性タンパク尿
血液中に異常な小分子タンパク質が増加し、腎臓で処理しきれず漏れ出します。
例)ベンス・ジョーンズタンパク
◆機能性または一過性のタンパク尿
激しい運動やストレス、発熱などで一時的に腎血流量が変化し、軽度のタンパク尿が出ることがあります。

タンパク尿は腎臓を悪くするの?

タンパク尿は、以下の理由で腎機能を悪化させる可能性があります。

腎臓への影響

◆糸球体への負担
タンパク尿が尿中に漏れる状態は、腎臓の糸球体のろ過機能が損なわれていることを意味します。この状態が続くと糸球体にさらに負担がかかり、腎機能が低下します。
慢性腎臓病(CKD)への進行
タンパク尿が持続すると慢性腎臓病の進行につながり、末期腎不全(人工透析や腎移植が必要な状態)になるリスクが高まります。
◆全身への影響
タンパク尿は腎臓だけでなく、心臓病や脳卒中などのリスクも増加させることが知られています。

タンパク尿を減らすためには?

タンパク尿を減らすには、腎臓に負担をかけない生活習慣を心がけることが大切です。

◆塩分を控える
1日の塩分摂取量を6g以下を目標にすることで高血圧を予防し、腎臓への負担を軽減できます。
◆タンパク質の摂取量を調整する
体重1kgあたり、0.6〜0.8g程度が目安です。過剰摂取に気をつけましょう。
◆適度な運動
有酸素運動や筋力トレーニングは腎臓への血流改善に役立ちますが、激しい運動は避けましょう。
◆薬物療法
血圧や血糖値などのコントロールを適切に行いましょう。

まとめ

タンパク尿は自覚症状がほとんどないため、放置すると病気が進行する可能性があります。
早期に原因を特定し、治療を開始することで腎臓の悪化を防ぐことができます。
定期的な検査と適切な管理が重要です。

明日も元気に生きられますように。

ご精読ありがとうございました。

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