高齢の家族に食事を用意する方へ。優先して摂って欲しい栄養素&食品。

健康

こんにちは。内科クリニックに勤務する看護師のトトです。

みなさんは、高齢の家族はいらっしゃいますか?
高齢になってくると、栄養バランスの良い食事を自分で用意することが難しくなってきます。

高齢の患者さんから「食欲がない」「どんどん痩せていく」「歩くのがやっと」とか、
家族から「何を食べさせたら良いかわからない」など、
食事に関するお悩みを聞くことがあります。

ということで今回は!

食欲がなくなったり、身体機能が低下する高齢の家族のためにおすすめする
栄養素&食品をご紹介します。

低栄養にならない

必要なエネルギーを摂る

生命活動を維持するための、呼吸や心拍、体温調整など、最低限必要となるエネルギー消費量のこと【基礎代謝量】といいます。
1日の総エネルギー消費量の約60〜70%を占めており、無意識のうちに消費させるエネルギーです。

基礎代謝基準値の算出方法は、
【体重当たりの基礎代謝基準値】✕【体重(kg)】=【あなたの基礎代謝量】kcal/日
です。


後期高齢者とよばれる75歳以上の方の体重当たりの基礎代謝基準値は、
男性の場合は【21.5】
女性の場合は【20.7】
になります。

◆例えば、一日のほとんどを家の中で静かに過ごす83歳女性Aさんが40kgだった場合、
20.7 ✕ 40kg = 828kcal/日 ⇐基礎代謝量
になります。
これに、身体活動による消費エネルギーを足したカロリーが、【推定エネルギー必要量】になります。

推定エネルギー必要量の算出方法は、
【基礎代謝量】✕【身体活動レベル】=【あなたのエネルギー必要量】kcal/日
です。

◆Aさんの場合は、身体活動量をレベルⅠ(1.5)になるので、
828 ✕ 1.5 =1242kcal/日
これが、Aさんの一日に必要な最低エネルギー量になります。

このエネルギー量不足が続くと、Aさんはエネルギー不足になって、痩せてしまう可能性があります。

炭水化物・脂質でエネルギーを確保する

※ご本人(高齢者)の食べる意思と食べたいものを優先することを大切にしてください。

体を動かすエネルギー源は、【炭水化物】【脂質】【タンパク質】があります。
この中でも、より簡単に摂取できるのが、【炭水化物】と【脂質】です。

例えば、
おにぎりやお粥、お餅、パン、うどん、そば、などの【炭水化物】は、
準備するのが比較的簡単で、かつ食べやすく、気軽にエネルギーを摂取することができます。

⚠️ただし、
餅は小さくして喉につまらないようにしたり、
“菓子パン”で糖質過多にならないように注意してください。

簡単に、効率的にエネルギーを摂取できるのは【脂質】です。
例えば、
オリーブオイルやマヨネーズ、バター、ドレッシング、牛乳、などです。
少しでも、カロリーを摂りたい時は、【脂質】と選択すると、効率的にエネルギーが補給できます。

タンパク質

『サルコペニア』って、聞いたことありますか?
加齢に伴う筋肉低下、かつ筋力低下または身体能力の低下が見られたときに
『サルコペニア』と診断されます。

そのため、筋肉を維持するためにタンパク質を摂取することは、とっても大切です。

タンパク質には、
鮭やサバ、鶏肉、卵、乳製品などの動物性タンパク質と、
豆腐や納豆などの大豆製品、ナッツなどの植物性タンパク質があります
本人の食べたい、食べられる“タンパク質”を毎食20g程度摂れると良いと思います。

ちなみに、
胸肉100gで約20g
納豆1パックで約7g
卵Mサイズ1個で約6g
4つパックのヨーグルト1つで約3g
ぐらいです。

間食なども含め、無理せず少しづつ摂るようにしましょう。

カルシウム

カルシウムは、体内に最も多く含まれるミネラルです。
食事から摂ったカルシウムは小腸で吸収されます。
ただし、カルシウムは摂取量が多すぎると吸収率が低くなるので、
1回の食事でたくさんのカルシウムを摂るより、数回に分けて摂ることをおすすめします。

高齢者がカルシウム不足になると、
骨折のリスク以外にも以下のような健康障害が発生する可能性あります。
・骨粗しょう症
・筋力低下
・動脈硬化、高血圧
・歯の健康悪化
・神経機能障害

カルシウムの多い食品は、
厚揚げ、ごま、小松菜、ししゃも、干しエビ、牛乳、チーズ、などです。

ビタミン

ビタミンはエネルギー源や体の主要な構成成分にはなりませんが、
生理機能を補助的に調整しています。
ただ、体内で合成されないか、されても必要量に満たしません。
そのため、食品から摂る必要があります。

特に高齢の方の健康維持に欠かせないのが、
【ビタミンD】
・腸管でカルシウムとリンの吸収を促進します→骨粗しょう症予防
【ビタミンB6】
・体内でタンパク質を分解、再合成、エネルギーの産生、神経伝達物質を合成します→皮膚症状の予防、手足のしびれ、認知機能低下の予防
【ビタミンB12】
・アミノ酸のDNAの合成に関わっています→貧血予防
【ビタミンC】
・細胞などを酸化してしまう活性酸素を除去したり、ビタミンEを再生したりする強い抗酸化作用があります→免疫機能を強化、感染症予防

食物繊維

食物繊維腸内環境を整え便秘の予防だけではなく、
腸内環境が整えることにより効率よく栄養の吸収ができたり、
血糖値の急上昇やコレステロール値を下げる効果
も期待できます。

食物繊維は、炭水化物が多く含まれる穀類、芋類、豆類、野菜類、きのこ類、海藻などで摂取することができます。

食品によってはしっかり噛んで摂る必要があるので、小さくカットしたり水分を多く含ませたり、など
形状を工夫して調理することをおすすめします。

まとめ

年齢を重ねると、身体機能が少しずつ低下していくのは避けられないことです。

でも、少しずつなんです。

日々の食事を将来の自分に投資する栄養素&食品を選べば、
そう遠くない未来で、風邪をこじらせて肺炎にならないように、
転倒しても骨折しないように、身体機能を維持する&予防することは可能です。

ぜひ、ご自身の食事も栄養素&食品を意識してみてください!

明日も元気に生きられますように。

ご精読、ありがとうございました。

参考文献;新栄養の教科書

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