こんにちは。内科クリニックで働く看護師のトトです。
季節の変わり目や疲労などで免疫力が下がると「風邪かな?」と思う症状が出ること、ありますよね。
でも、咳だけが何週間も続く・・・なんてことはありませんか?
もしかすると、それは「百日咳」かもしれません。
ということで今回は、最近よく耳にする「百日咳」についてご紹介します。

百日咳
どんな病気?
百日咳は、「ボルデテラ・パータシス」という細菌が原因の急性呼吸器感染症です。
主な症状は激しい咳で、ひどい場合は2〜3ヶ月(約100日)続くこともあるため、
「百日咳」という名前がついています。
感染経路は?
百日咳の感染経路は以下の通りです。
・飛沫感染(咳やくしゃみのしぶき)によって人から人へ広がる
・潜伏期間は7〜10日程度
・特に乳幼児や高齢者、免疫力が落ちた人にとっては重症化のリスクが高い
どんな症状が出るの?
◆症状の進行は3段階です。
1.カタル期(初期):約1〜2週間
・軽い咳、鼻水、くしゃみ、微熱など
・一見、風邪と区別がつきにくい
・この時期が最も感染力が強い
2.痙咳(けいがい)期:約2〜6週間
・特徴的な咳:発作的に「連続する咳(コンコン)」→→→「ヒューヒュー」と息を吸う音がでる
・咳の後に嘔吐が顔面紅潮、無呼吸が起きることもある
・特に夜間に症状が強く出て、睡眠が妨げられる
3.回復期:数週間〜数ヶ月
・咳は除々に減っていくが、なんらかの刺激で再び咳がぶり返すこともある
・完全に治るまでに2〜3ヶ月かかることもある
【合併症】
特に乳児や高齢者は以下のような合併症が起こることがあります。
・肺炎
・無呼吸発作
・痙攣
・脳症(まれ)
・栄養失調や脱水
など
誰でもかかるの?
◆特に感染しやすい・重症化しやすい人
1.乳幼児(特に生後6ヶ月未満)
・まだワクチンが十分に打てていないため、免疫が不十分の可能性がある
・無呼吸や痙攣、脳症などの合併症が起こることもある
2.高齢者
・免疫力が低下しており、重症化のリスクが高い
3.ワクチンの効果が切れている大人
・百日咳ワクチンの効果は5〜10年程度で薄れるため
・大人が感染源となり、赤ちゃんにうつすケースが増えている
4.妊婦や基礎疾患のある人
・妊娠中に感染すると、胎児への影響や産後の赤ちゃんへの感染が懸念される場合がある
検査方法は?
◆主な検査方法
1.鼻咽頭ぬぐい液(培養検査)
・百日咳菌を直接検出する検査
・鼻の奥(鼻咽頭)を綿棒でこすって採取する
・発症初期(タカル期)に有効
・結果が出るまで数日かかる
2.PCR検査
・百日咳菌のDNAを調べる方法
・精度が高く、早期診断が可能
・発症から2〜3週間以内が適応
3.血液検査(抗体検査)
・百日咳に対する抗体を調べる
・主に発症後2〜3週間以上経った時期に有効
・過去に感染したかどうかの判定にも使用される
治療方法は?
百日咳の治療には薬物療法と対症療法の2つあります。
◆抗菌薬(抗生物質)
・主に使用される薬:マクロライド系抗菌薬
・効果:百日咳の原因菌を排除する(早期の使用で症状の悪化を防ぎ、周囲への感染も抑えられる)
・注意点:症状が出て2〜3週間以上経過していると、菌はすでに減退して咳だけが残る場合がある
◆対症療法
・咳止め:医師の判断のもと処方される
・酸素療法:呼吸困難や低酸素のリスクがある場合、入院して酸素吸入を行うことがある
・水分や栄養補給:強い咳で嘔吐や食欲不振がある場合は点滴などでサポートする場合がある
・入院が必要なケース:乳児(特に生後3ヶ月未満)、酸素不足、無呼吸、痙攣などの合併症がある場合
予防の方法は?
◆子ども向け(定期接種)
・四種混合ワクチンに百日咳ワクチンが含まれています
◆大人向け(任意接種)
・百日咳の免疫は5〜10年で低下します
・成人は追加接種が推奨されます
まとめ
いかがでしたか?百日咳は、放っておくと体力を消耗し、肺炎などの合併症を引き起こすこともあります。「咳が全然治まらない・・・」と思ったら、自己判断せずに、早めに主治医や近くの医療機関に相談してみて下さい。
明日も元気に生きられますように。
ご精読ありがとうございました。




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