遺伝が原因?家族性高コレステロール血症について

健康

こんにちは。内科クリニックで働く看護師のトトです。

新年度が始まりました。
みなさんは、健康診断は受けましたか?これからですか?
社会人になって初めて血液検査を含む健康診断を受けられる方もいると思います。

若い世代でコレステロール値が高い方

若い頃からコレステロール値が高い方

もしかすると、その原因は家族性高コレステロール血症のせいかも知れません。

ということで、今回は!
遺伝的な原因である家族性高コレステロール血症についてお伝えします。

家族性高コレステロール血症

家族性高コレステロール血症とは?

家族性高コレステロール血症(FH)は、遺伝性要因によって引き起こされる脂質異常症のことです。
通常、血液中のLDLコレステロール※は、LDL受容体にくっつき肝臓や細胞に取り込めれるため、正常な濃度で保たれています。しかし、FHの場合は、このLDL受容体やそれに関連するタンパク質に遺伝的な異常や欠損があるため、LDLコレステロールが肝臓や細胞に取り込むことができず血中に増加します。
※LDLコレステロール=悪玉コレステロール

どんな特徴があるの?

FHは以下の特徴があります。(15歳以上)
3つのうち、
1つでも当てはまる方は、FHを疑う可能性があり、
2つ以上は、FHと診断されます。

□未治療時のLDLコレステロール値が180mg/dL以上
□手足や腱に黄色い隆起(しこり)がある
□血縁家族にFHか、早期の冠動脈疾患の方がいる

※男性55歳未満、女性65歳未満で発症

どんなリスクがあるの?

FHの方は、早期に心血管疾患を引き起こす可能性があります。
未治療のFHの方の心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患の発症が10〜20倍といわれています。※
冠動脈疾患は男性では20歳代、女性では30歳代で発症するとこがあり、年齢が高くなるほど起こしやすくなります。
加えて、加齢や喫煙、糖尿病、高血圧、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール血症、肥満などがあると、そのリスクは更に高くなります。

※参考:動脈硬化症疾患予防ガイドライン2022年

主な症状とは?

FHは遺伝的な疾患であるため、家族内で同じ病気を持つ人が多いことが特徴です。
もし、家族にFHの方がいる場合、早期に自分自身も検査を受けることが重要です。
早期にコレステロール値をチェックすることで、必要な治療を早い段階で開始でき、心血管疾患を予防することができます。

FHの主な症状
◆眼瞼黄色腫・角膜輪
◆皮膚、肘、膝などの黄色腫(黄色いしこり)
◆アキレス腱の肥厚


🔍️一般社団法人日本動脈硬化学会🔍️

どんな治療をするの?

FHの治療目的は、若い年代で起きる冠動脈疾患などの発症や動脈硬化の進展を予防するために
LDLコレステロール値を管理することです。
食事療法(低脂肪・低コレステロール食)や禁煙などが推奨されていますが、
FHはこれだけで十分な改善は難し場合が多いです。
そのため、適切な薬物療法の継続が必要になります。

コレステロール低下療法以外では、
・生活習慣の改善・禁煙
・体重を改善
・冠動脈疾患リスクの管理

FHの方の管理目標値(15歳以上)
LDLコレステロール値は100mg/dL未満

食事療法
◆標準体重を目指す
◆脂質を控える
◆コレステロールを含む食品を避ける
◆食物繊維を摂取する

薬物療法
◆スタチン系薬剤
最も一般的な治療薬で、肝臓のコレステロール合成を抑制します。
これにより血中LDLコレステロールの量を減らします。
◆エゼチミブ
腸からのコレステロール吸収を抑制する薬剤で、スタチンと併用されることが多いです。
◆PCSK9阻害薬
肝細胞のLDL受容体を増加させ、LDLコレステロールの取り込みを促進させます。
これにより血中LDLコレステロールの量を減らします。
◆胆汁酸吸着薬
消化管内で胆汁酸を吸着し体外は排出することで、胆汁酸の腸肝循環を阻害するします。
これにより肝臓でコレステロールから胆汁酸へ分解が促進され、血中のLDLコレステロール値が低下します。

まとめ

家族性高コレステロール血症は、遺伝的な背景を持つため、早期発見と治療が心血管疾患の予防に繋がります。症状が現れる前に定期的な健康診断や人間ドックを受けることが大切です。
また、生活習慣を改善し、医師の指導のもとで治療を進めることが、健康を守るための最初一歩になります。

明日も元気に生きられますように。

ご精読、ありがとうございました。

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